お金に困るとIQが下がる 科学が示す「経済的不安」と脳の関係

こんにちは、はじめです。

「お金がないと頭が回らなくなる」「貧困は判断力を鈍らせる」といった話は、単なる比喩ではありません。

近年の研究によって、経済的な不安やストレスが実際にIQ(知能指数)や認知能力を低下させることが明らかになっています。

目次

実験が示す「お金の不安」とIQ低下

2013年に科学誌「サイエンス」に発表された論文「Proverty impedes cognitive function」では、400人の被験者に「車の修理代が必要」という経済的な問題を考えさせた後にIQテストを実施しました。

その結果、裕福な人はほぼ影響を受けませんでしたが、経済的に苦しい人は高額な出費を想像しただけでIQテストの結果が最大で40%も低下したのです。

このIQの低下幅は、一晩徹夜した時と同程度とされています。

また、インドの農家を対象にした同様の実験でも、収穫前(お金がない時期)と収穫後(お金がある時期)でIQを測定したところ、収穫後の方が25%もIQが高かったという結果が出ています。

なぜお金の不安でIQが下がるのか

認知リソースの圧迫

お金の心配があると、「どうやって支払うか」「返済はどうするか」といった不安が頭を占め、脳のワーキングメモリ(作業記憶)が圧迫されます。

その結果、他のことに使える認知資源が減り、判断力や問題解決能力が低下します。

慢性的なストレスによる脳機能の低下

経済的なストレスが続くと、コルチゾール(ストレスホルモン)が過剰に分泌されます。

これが記憶や集中力を司る脳の部位(海馬や前頭前野)に悪影響を及ぼし、計画性や理性的な判断ができなくなるのです。

「トンネル効果」と意思決定のミス

お金が足りないと、目先の問題にばかり意識が集中し、長期的な視野や冷静な判断が難しくなります。

これを「トンネル効果」と呼び、目の前の支払いに追われるあまり、将来の損得を考えられなくなる傾向が強まります。

悪循環に陥るリスク

経済的な不安は、衝動的な行動や間違った判断(高利の借金や浪費)を招きやすく、さらに状況を悪化させる「負のスパイラル」を生み出します。

このような状態が続くと、脳の柔軟性(認知的柔軟性)や抑制力も低下し、ますます抜け出しにくくなります。

まとめ

  • お金に困ると、一時的にIQや認知能力が大きく低下することが科学的に証明されています。
  • その主な原因は、経済的不安による脳へのストレスと認知リソースの圧迫です。
  • この状態が続くと、判断ミスや悪循環に陥りやすくなります。

経済的な問題は単なる「お金の悩み」にとどまらず、脳と心の健康にも大きな影響を与えることを知っておくことが大切です。大きな決断は、できるだけ心に余裕があるときに行うのが賢明です。

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